2020年から小学校でプログラミングが必修化されます。
今回は、小学校の「理科」でのプログラミングについて解説していきたいと思います。
電気や回路の実験など、プログラミングと組み合わせることで実験がより面白くなったり、これまでの授業よりも理解を深めることができるなど、理科とプログラミングはとても相性がいいです。
そんな小学校の理科とプログラミングの可能性について見ていきましょう!
目次
プログラミングは理科を深く学ぶためのツール
プログラミングで主体的に学ぶ力を付ける
プログラミングというと、パソコンの前に座ってキーボードをカタカタしてプログラムを打つイメージを持たれるかもしれません。
でも、小学校のプログラミングは、そのイメージとは異なります。
小学校のプログラミング授業は、一人で黙々と作業をするものではありません。
むしろ、プログラミングが生活の中でどう役に立っているのか観察して学んだり、プログラムを作って生徒同士で発表しあうなどの学習をしていきます。
それによって、子どもたちが主体的に授業にかかわり、学んでいくことが期待されています。
それは、プログラミング必修化ではプログラミング自体を学ぶことを目的にしているのではなく、プログラミングを使った学習やそこから得られる成長を目的にしているからです。
理科でのプログラミングもプログラミング自体がメインではない
理科の授業でも同様に、プログラミングをすること自体が目的ではなく、コンピュータやプログラムが生活の中でどう用いられているか学んだり、試行錯誤して実験を行ってプログラミング的思考を学んだりしていきます。
※「プログラミング的思考」とは、自分が思っている一連の動作をさせるために、いろいろな動作をどう組み合わせたらよいか、論理的に考えていく力のことです。
授業の中でプログラミング的思考を使って実験を繰り返し行ったり、観察をして現象を理解したりすることで、この力を育成していきます。
このように、プログラミングは授業への理解を深めたり、プログラミング的思考を養ったりするように実施をし、プログラミングをすることが目的にならないように、気を付けていくことが大切です。
理科の教科の中では、プログラミングはメインではなく、理科をもっとよく知るためのツールとも言えるでしょう。
理科でのプログラミング実践事例を紹介!
それでは、次に理科のプログラミング授業について詳しく見ていきたいと思います。
文部科学省や経済産業省が運営するプログラミング教育サイト「未来の学びコンソーシアム」での実践事例を踏まえながらご紹介していきます。
【理科プログラミング事例】 電気を無駄なく使うためにはどうしたらいい?
新学習指導要領では、小学校6年生で「電気の利用」について述べられています。そのため、理科のプログラミングでは、電気が題材として取り上げられることが多いです。
では実践例として、三鷹市立北野小学校の例をご紹介していきます。
(下記の写真は、未来の学びコンソーシアムHPから引用しております)
授業の目標
- 電気の性質やその量について学び、発電や蓄電、電気の変換などについて理解をしていく。
- また、電気を有効的に使うためにどうしたらよいかを主体的に解決するための力を育成する。
授業の内容
- 手回し発電機を使い発電について理解したり、コンデンサーに電気を蓄えられることを学ぶ
- 蓄えた電気をブザーやLED、豆電球に利用して、電気がいろいろなものを動かすエネルギーに変換されることを学ぶ
- 電気を無駄なく使うためにどうすればいいかを学ぶ。
その際にプログラミングによってLEDのON/OFFを制御できることを学び、コンピュータによって電気を有効に活用できる可能性を理解する
この授業では、まずは電気の性質について学んでいき、基礎的な知識の学習を行っていき、また電気が身の回りで使われていることを理解していきます。
ここまでは、一般的な知識を身につけていくことが授業の目的になっていると言えます。
そして、そのあとの授業内容では、電気をどうしたら有効に使えるかを考えていく内容になります。
エネルギーの観点から、電気をむだにしないためにどうすればよいかを自分の頭を使って考えることで、主体的に解決する方法を検討していく力を学んでいくことが重視されていきます。
その際に、プログラミングを取り入れた教材を使うことで、自分で考えた命令や制御をコンピュータ(スイッチ)にさせて、どのように制御したら電気が効率的に使えるかを体験していきます。
このように自分の考えた動作を繰り返し実行しながら最適な答えを探していくことで、プログラミング的思考(論理的思考)を鍛えることが期待されています。
この授業でポイントとなるのは、理科の授業の学習内容である「電気の利用」や「エネルギーの有効活用」をしっかり学習しながら、プログラミングを取り入れることでさらに理解を深めていける点と言えます。
理科×プログラミングの可能性は無限!
理科で使うプログラミング教材は実際のモノ(ハードウェア)がいい!
理科は、様々な事象や物事の仕組みなどの基本的な知識を付けながら、それらの観察や実験も行っていける教科です。
そのため、理科で使うプログラミングの教材も、子どもたちが直接触ったり操作したりして、実験に使えるものが良いと思います。
また、繰り返し試しながら操作できることも大切で、実験を繰り返しながら、よりよい答えを自分で見つけていくことでプログラミング的思考を鍛えていくことにつながります。
例えば、micro:bitのようなハードウェアの学習教材では、実際にLEDを光らせたりして、その観察や動作の制御も可能なので、理科での使用もおすすめできると言えます。
理科プログラミングを通じて、世の中の仕組みに関心を持つようになる
プログラミングの必修化の目的の一つに、「身近の生活の中でコンピュータやプログラムがどう活用されているか気づく」というものがあります。
理科は、身の回りで起こる事象を観察して理解していく教科なので、そこにプログラミングが加わることで、身近に使われているモノ(家電製品や車など)がどうして動いているのかをより深く学んでいくことができるようになります。
また、実験などの中で、自分の意図した動作をどのようにしたら実現できるか考えていきますが、実践例でも見たように「エネルギーの有効活用」など社会問題に対して解決方法を主体的に考えていくことにもつながります。
このように、理科での学びは現実の社会と密接に関係しており、プログラミングと組み合わせることで、より一層社会の仕組みや問題に対して関心をもつことにつながると期待できると思います。
そういった意味では、理科×プログラミングの可能性は大きいと言えると思います!