2020年に学校の教育方針を規定している「学習指導要領」が大きく変わり、プログラミング教育が小学校でスタートします!

しかし、プログラミング教育といっても、どのような授業を行っていくのか、まだあまり知られていないのが現状ではないでしょうか?

そこで、プログラミング教育って何なのか、授業内容はどのようになるのかについて解説していきたいと思います!

小学校のプログラミング教育とは

2020年にプログラミングが必修化されて、授業の中でプログラミングを扱うようになります。

その際に誤解されやすいですが、「算数」や「理科」のように「プログラミング」という科目が新しくできるわけではありません

算数や理科といった従来の科目の時間や、学校の裁量で授業とは別に時間を確保して、プログラミングを扱う教育が行われることになるのです。

何年生からプログラミング教育が始まる?

まず結論から言ってしまうと、新学習指導要領の中では、具体的に何年生からどんなプログラミングをすべきというような明記はされていません。

そのため、各地域の教育委員会や小学校で、どの学年でどんなプログラミング教育を取り入れるか定められることになります。

新学習指導要領に例示されている例としては以下のようなものがあります。

  • 社会(第4学年)
    47都道府県を見つけるプログラムの活用を通して、その名称と位置を学習する
  • 算数(第5学年)
    プログラミングを通して、正多角形の意味を理解し、正多角形をかく
  • 理科(第6学年)
    身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があることをプログラミングを通して学習する
  • 家庭(第6学年)
    自動炊飯器に組み込まれているプログラムを考える学習を通じ、炊飯について学習する

これは一例ですが、各科目の中に、うまくプログラミングを取り入れ、本来の科目内容をより理解できるように工夫されています。

また、小学校によっては小学2、3年生向けでも、国語や音楽の授業の中で、タブレット端末を取り入れた学習を検討しているところもあります

音楽授業例(未来の学びコンソーシアムより)

つまり、低学年、高学年問わずにプログラミング教育は行われるということです。

もちろん、学年によって扱うプログラミングの難易度は変わりますが、小学校6年間を通じて、広くプログラミングを導入する動きとなると思われます。

具体的な授業内容はどうなる?

では、プログラミング教育の具体的な授業内容について見ていきます。

授業内容は、各地域の小学校によって少しずつ異なるため、授業例として紹介していきます。

「算数」のプログラミング教育

算数の授業例を紹介していきます!

  • 学年:小学校5年生
  • 授業内容:「正多角形」をプログラムを使って描く
  • 実施校:東京都杉並区の小学校
  • 使用言語:Scratch(ビジュアル言語 スクラッチ)

まずは手で図形を描く

始めは、自分で正方形、正三角形、正六角形を描いていきます。

これにより、多角形になると手できれいに描いていくことが難しいと理解することができます。

プログラムを使って正方形を描く

ビジュアル言語Scratchで、猫の動きで図形を描いていくことができます。

ビジュアル言語とは?

プログラミングをテキストで記述(キーボードでタイプしていく)のではなく、絵や図などのパーツをマウスでドラッグ&ドロップで移動して、プログラミングできる言語のこと

画面左側に猫を動かす”動作”が書かれたブロックがあり、それらを組み合わせることで、猫を動かして正方形を描いていきます。

さらに、正三角形や正六角形を描く

猫が動く角度を変化させることで、正三角形や正六角形を描いていきます。

思考錯誤して角度を変化させることで、どういう角度にすれば正多角形が描いていけるか理解することができます。

猫のキャラクターを動かして、正六角形を描く

さらに、どういう角度にすればよいか、自分の考えを発表して、クラスで共有していきます。

応用として、正八角形や正十二角形を描く

ここまで多角形になってくると、手できれいに描くのが難しくなってきます。

そこで、応用として、プログラムを変更して、正八角形や正十二角形を描いていきます。

プログラミングの学習の振り返りをする

授業の感想や、分かったことを振り返っていきます。

コンピュータでプログラミングをすることで、作図がきれいにできることを体験し、正多角形の性質を理解していきます。

「社会」のプログラミング教育

次に社会の授業での、プログラミング教育を見ていきます。

  • 学年:小学校4年生
  • 授業内容:地理的な特徴をもとに、47都道府県を見つける
  • 実施校:東京芸術大学付属小金井小学校
  • 使用言語:Scratch(ビジュアル言語 スクラッチ)

まずは、47都道府県の見つけ方を学ぶ

例えば、青森県であれば、青森がどんな特徴の組み合わせで見つけられるか考えていきます。

「東北地方」にあり、「海に面しており」「リンゴの生産量が多い」など

Scrachのプログラムを使って、都道府県を見つける

コンピュータプログラムでも、特徴の組み合わせで、都道府県を見つけることを見つけられることを理解していきます。

特徴が書かれたブロックを組み合わせて、都道府県を特定することができます。

(例)兵庫県の見つけ方

プログラムを操作して、他の都道府県も見つけていく

ブロックを様々組み合わせて、47都道府県を見つけていきます。

見つけることができた都道府県は、白地図に色を塗っていきます。

授業の振り返りをする

都道府県をいくつ見つけられたか確認をして、本日の授業を振り返りします。

また、感想などを発表し、クラスで共有します。

プログラミング教育で押さえたいポイント!

ここまで、算数や社会の授業内容を紹介しました。

プログラミング教育を受ける上で、押さえておきたいポイントして、以下3つを挙げることができます。

  • 授業では難しいプログラムの記述を必要とすることはない
  • ビジュアル言語などの学習ツールを使って、視覚的にプログラミング学習をすることができる
  • その教科の内容をより理解するために、プログラミング教育を取り入れている

専門的なプログラミング知識は必要ではなく、それより視覚的にもわかりやすい授業が展開されていくと思います。

のため、まずは本来の授業内容を理解していくことを心がけていきましょう!

授業では何のプログラミング言語を使う?

実際の授業で使われるプログラミング言語は、どんなものがあるのか見ていきます。

小学校のプログラミング教育では、ビジュアル言語が用いられることが多いでしょう。

そこで、以下の代表的な2つのビジュアル言語を紹介します!

  • Scratch(スクラッチ)
  • Viscuit(ビスケット)

Scratch(スクラッチ)

アメリカのマサチューセッツ工科大学が開発したビジュアル言語です。

画面上に、様々な”動作”が書かれたブロックがあり、それらを組み合わせてプログラムを作っていきます。

主にマウスを操作していくことで、プログラミングをすることができます。

「10歩動かす」「30度回転する」といった動作を組み合わせることで、キャラクターを動かしていきます。

ネコ以外のキャラクターや背景も多く用意されており、様々な作品を作ることができます。

Viscuit(ビスケット)

プログラミング言語の研究者 原田康徳氏によって開発されたビジュアル言語です。

画面上の部品(魚の絵など)を配置して、それらを移動させたりするために、「メガネ」という名のツールを使い、プログラミングをしていきます。

例えば絵を移動させるときは、「メガネ」の左右の輪の中に同じ絵を置き、右の輪の中の絵だけ、少しずらして置きます。斜め上に動かしたいときは、斜め上にずらして置きます。

他の多くのプログラミング言語の場合は、右に10歩移動し、上に20歩移動するなどの動作を組み合わせる必要があります。

しかし、Viscuitの場合、「メガネ」という仕組みを使っているため、お絵かき感覚で小学校低学年でも扱うことができるのが特徴的です。

プログラミングの授業に向けて今からやっておきたいこと

2020年からのプログラミング授業開始に向けて、今から何か準備できることはあるのでしょうか?

主に、次の2つのことをやっておくと良いかもしれません。

  • PCに慣れる
  • プログラミングのイベントに参加してみる

PCに慣れる

スマホは使ったことがあるけれど、パソコンはさわったことがあまりないというお子さんは、家にあるパソコンなどで、操作に慣れておくと良いかと思います。

例えば、キーボードの打ち方や、マウスの操作方法など知っておくことで、授業の際に操作でつまづくことが少なくなるでしょう。

また、最近では、耐久性の高く、使用時間の制限や有害サイトのフィルタリングも可能なパソコンも登場しているので、一度検討してみるのもアリだと思います!

中学生まで使えるようなパソコンがあれば、タイピングや、本格的なプログラミング学習の際にも役に立つことでしょう。

プログラミングのイベントに参加してみる

プログラミングを学ぶイメージを付けるには、ログラミングを体験できるイベントに参加してみるのが一番です。

ゲームを制作したり、ロボットを動かしてみたりしながら、自分で書いたプログラミングでコンピュータが動くことを学ぶことができます。

プログラミングをやったことがない初心者向けや、親子で一緒に参加できるイベントもあるので、探してみると良いでしょう。

例えば、お出かけ情報サイト「いこーよ」では、全国のプログラミングのイベントを掲載しているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。→「いこーよ」サイトはこちら

まとめ

2020年から始まるプログラミング教育の授業内容と、それに備えていく方法についてお伝えしてきました。

小学校のプログラミング教育では、専門的な知識を付けることではなく、プログラミングを通じて、授業内容の理解や、コンピュータの便利さに気づくことが主な目的となっています。

なので、プログラミングの知識をたくさんつけなくてはいけないと焦る必要はありません。

プログラミングを学ぶ上で一番大切にしてほしいことは、プログラミングが楽しいと思えることです。

まずは、プログラミングのゲームをさわったり、イベントに参加して、”楽しい”プログラミングを体験してみてください!